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- 北海道で見られる「ストレート地名」に関する調査 - 2018年7月25日
「ポン仁達内川(ポンニタチナイ川)」 北海道枝幸郡浜頓別町
北海道の地名といえばアイヌ語由来のもの。たとえば大楽毛(オタノシケ)、音威子府(オトイネップ)、馬主来(パシクル)のようにアイヌ語の読みに漢字を当てたものは、その響きの珍しさもあって難読地名として紹介されているのをたびたび見かけます。本州出身である私にとってそれらアイヌ語由来の地名はとても新鮮で、散歩やドライブの折に各種看板を眺めては読み方や由来を調べているのですが、数年前くらいから別のタイプの地名が気になるようになりました。
それが今回取り上げる「ストレート地名」です。アイヌ語由来の地名も、そもそも地形や位置を表すアイヌ語を冠したストレートなものが多いのですが、それらについては詳しく取り上げられた書籍等がたくさん出ているのでこの記事では省きます。取り上げるのは呼び名の通り、見聞きしてすぐに脊髄反射で思わず「そのまんまじゃないか!」と突っ込みたくなる地名です。
サンプル数が少なく、現在のところまだ収集段階ですが、写真とともに紹介していきます。
「自衛隊川」 北海道宗谷郡猿払村
周囲に自衛隊の演習場があることからこの河川名になったと思われます。まさにそのまんまで何のひねりもありません。このような地名をストレート地名と分類し収集しました。
「土方の沢川」 北海道枝幸郡中頓別町
土木工事関係者が周囲に住んでいたのでしょうか?
「~の沢川」「~の沢橋」という名の橋は他にもあって、漁業者の多く住む海岸沿いの集落に「番屋の沢橋」という名の橋があるのを見たことがあります。これは、漁業者の住居や作業場として機能したいわゆる「番屋」が近くにあったのではないかと推測される地名です。
他には、熊の出そうなところにある「熊の沢川」、林業で栄えた集落の周辺にある「炭焼の沢川」という地名もあります。
確かではありませんが、この「土方の沢川」もそれらの地名と同様、ひねらずに付けられたのではと考え、今回ストレート地名に分類しました。
「ムメイ川」 北海道宗谷郡猿払村
これはアイヌ語を和訳してそれを川名に当てたというタイプの可能性もありますが、おそらく漢字に直すと「無名川」。名も無き川です。無名川と名付けるくらいなら他の名前を付けてあげて欲しい。そんな気持ちに駆られます。それが叶わないならば、せめて川の名前を橋の名前より大きく表示して欲しいところです。
「北の橋」 北海道紋別郡雄武町
とてもアバウト。
「でんでん大橋」 北海道札幌市
NTT(旧電電公社)の通信ケーブルが中を走る橋です。でんでん。だんだんアバウトになってきました。
「排水橋」 北海道天塩郡豊富町
排水口が付近に確認されました。これをもじって「背水橋」ならめちゃくちゃ切迫感がありますが、何のひねりもない無骨な名前から堂々とした落ち着きが漂っています。さて、突っ込むのも疲れてきたところで、まとめに入ります。
◎考察
「スナック坂道」 北海道稚内市のとある坂道沿い。
「Kaguya」という名の家具屋。こちらも北海道稚内市。
「食事処爺婆」
こちらも北海道稚内市。店名の通り、おじいさんとおばあさんの2人が切り盛りしている姿を見てそれだけで満足してしまい、その後の記憶がほとんどありません。たしかポークチャップ定食を注文したのですが、美味しかったのでしょうか?
北海道の人達は非常に合理的でわかりやすいものが好き。そんな肌感覚があり、店名などにも多く反映されていると感じていました。そしてストレート地名もこのような気質のもとで名付けられたものと勝手に想像しておりましたが、どうやら違うようです。
Twitter上で頂いたご指摘によると、広すぎて名前の無いものが多く、公共事業で川や橋に急に名前を付ける必要が生じたせいで、工事関係者や地元の適当な愛称がそのまま採用されたとのことです。
これが理由だとすると、この広大な北海道には今回取り上げたストレート地名がさらに多く存在している可能性があり、まだまだ調査の余地があるのではないかと思われます。
今後は調査を進めつつ背景についてもさらに精査していく考えです。また、紙地図やGoogleマップ等で調べてサンプル数を増やすという手法ももちろんあるのですが、散歩やドライブ中に偶然発見した方がグッとくるという個人的な感情を優先して、現地現物の精神で今後も見つかり次第更新していきます。