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暑いですね。暑いのでね、さっさとおっぱじめましょうか。
エアコンは効いてますか?効いてなくてもまずこの画像をご覧いただきたい
どうでしょうか。この腑抜けた体勢の猫をご覧なって、各位様々な感想を抱いたことでしょう。
柔らかげな白い腹をひけらかし、恨めしそうに前足を折る様子から「かわゆい」と嘆息を洩らした方。
悟りすましたトカゲのような顔つきが癇に障り「何見てんだ」と糾弾された方。
昨年睾丸を摘出されたのを未だ根に持っているかのような未練がましい態度に「いつまでもウジウジするな」と叱咤の念を送った方などなど。
いかなる感想を抱いたにせよ、暫し彼とその全容を眺めていると、あなた自身の内にうごめきはじめるとある懸念に気づくことと思われます。
私だってこの画像を見るにつけ居ても立ってもいられなくなり、あの欲求が湧いてくんのです。
「かましたい」
私だけではないはず、誰もがどうにかして、かましたくなっているはずです。
「かましたい」とは?
この場合の「かましたい」とはつまり、畳にこぼれている彼の上半身をぐいと持ち上げ、座椅子に近しい幅を持つ分厚いもの(コーンフロスティーの箱2個、六法全書、FAXなど)を「かまし」て、間に合わせではあるが、安定させたい、ということです。
この欲求は猫の保護者としての情もあるかもしれませんが、どちらかといえば整理整頓に近い。このままじゃ私自身がむず痒いから整えたいといったところです。
かましたくてたまんねえが、かまそうにも付近に座椅子の厚みと比肩しうるカステラの箱やAKIRAの大判本などはない、こりゃまいったね、と煩悶している隙に彼はいつの間にか全身を畳にゆだねていました。敏い猫で非常に感心した。
猫からメッセージによって自身の欲求について改めて考えさせられた私は、暑さに眉間を隆起させたまま欲望渦巻く街へと繰り出した。
人々のかましたいという欲求が見事に結実し、かましが成功している現場に心当たりがあったのだ。
そう、今回は待望の「かまし」を取り上げます。
人々はかます。生きるためにぶちかましている。
かましはあらゆる場所に存在するのです。
ソッコーで見つかりました。これはさっそく大がまし(おおがまし)をやってますね。
して序盤から当たり前のように「かまし」と言ってますが不安になってきたので、無粋かもしれませんが一応説明します。
「モノを噛ます行為」をかましと言ってます。
この回だけじゃ収まらないほど、かましには研究の余地があります。
まずはかましを盤石なものとするべく私はおこがましくもかましを定義してみました。
かましの定義とは
かましの世間的な認識をむちゃんこ簡単に言ったらこんな感じだと思います。
「物と物の間に物を挟む行為」
しかし今回、私が紹介していくかましの傾向から再定義をかましてみると
「任意の物体を設置するに際し、当該設置面での設置では不具合が生じると予想される場合、工作者が基準とする設置面まで、ありあわせの物体を嵌め込み補完する事で、任意の物体の安定と十全な機能の発揮を図る行為」
とまあもっともらしいことを記したものの、「かましはこうでなくっちゃ!」といった私観と好みによるところが多く、加えて寡聞なもんで論理的瑕疵が存分にあると思われます。定義とは名ばかりの勝手な独断なので、やっぱ「物と物の間に物を挟む行為」ぐらいの認識でよいです。
人は常に安定を欲しています。場所を安定させた方が、自身や周辺に有利に働く場合が多いことを生活知として心得ているのでしょう。
実際みなさんは自分が普段から使っている椅子が水平かどうか気にかかりませんか?私は気になっちゃってさ、水平器をいくつか買ったり、椅子を買い換えたり、いやそもそも椅子の方ではなくて、床が傾斜してるのではないかと疑心暗鬼になったり、やっぱ床ではなく自分自身の姿勢がおかしいのではないか?とノイローゼ気味になって整体に通ったりしたもんで、紆余曲折あってバランスボールに落ち着いた、はずだったんですが、今は立ったまま、そして頻繁にウロウロしながらこれを書いてる具合です。
今回発見された、かましを受けている対象の多くが屋外看板でした。
そのまま設置してしまえば不安定となってしまう屋外看板に、かましを施工することで、視認性の向上や通行人との接触リスクの低減を見込んでいるのかと思われます。
なにより「看板が傾く」なんて縁起が悪いですから、かまさざることやむなしといったところです。
かましを発見していく中で、私の生半可な定義にも反映されることになった、ある好みが明確になってきまして。
私は、片側のみをかましている非対称な状態がかなり好みだなあって感じです。
みんなはどうですか?
なので、これは完璧すぎてだめなんすよね。ブロックでかましてはいるのですが、それだけでは補えてない箇所をセメントを足して、補強の器具までつけちゃって、どちらかといえば底上げです。底上げが悪いってことではなく、私が夢みるところのテーマに沿ってないわけです。
なにより、これほどの超絶玄人施工は求めていないのもあります。もっと垢抜けてない素人DIY感みなぎる恣意的なかましを求めているので今回は見送りとさせてください。あるのかどうかわかりませんが底上げ回のときに採用させてもらいます。
勿論、調節の機能を最初から備えているかまし甲斐のない優秀な看板なんて論の外です。
しかし、これは言わんとするところのかましです。自己調節機能だけでは補えなかったので、さらにかましてます。
テープで補強までしたかまし木(かましぎ)をかましてます。
ブロックをかまして水平を作ってます。看板の色に合わせて黒に塗ったのでしょうか?
あくまで比重は敷地内に置いてますよと、それとなく辺りににじませてますね。
屋外看板が持つ主な目的は集客です。
そのためにはできるだけ通行人の目につくようにしなければなりませんが、思い切って表へ出そうにもはみ出し過ぎたら邪魔にもなるし注意を受ける可能性もあります、多くの店主がそんなジレンマを抱えているため、次善策としてのかまされ看板が多く散見されるのだと推察しています。
板っきれや縁石など、気持ちが良いほどありあわせのものを積んでかましていて、人の営為のようなものがここに滞留しているかのように感じました。
なぜ、かましに心惹かれるのかを考えていたら、必然的にそもそも路上観察とはなんだ?という根本に立ち返ってました。
そこで気づいたのですが、私は市井の人達が施したひと工夫に心惹かれたのだということがわかったのです、鬼才だから。
今回は「かまし」に絞ってますが、引いて眺めてみたら、かましとは、市井の人達が施した「応急措置」です。
人が確かにそこに関わった、と思い馳せれる工作を目の当たりにした時、私達はそこに
「どうしてこうなった?」という過去と、「どうしてこうした?」という現在、ふたつの時空に思いを馳せているのです。
意外とダイナミックな心の動きが起こってんですね。
この画像で例えると
「なぜブチ壊れた?」という過去と、「なぜタッパーをはめた?」という現在、ふたつの時空を思い馳せれますよね。
すなわち誰かのひと工夫には思考の跡が残っている。
特に素人が施した応急措置にはそれが顕著に現れる傾向にあります。
これが作られた、ひと工夫されたという事実がいみじくも慎ましいではないですか。そこに私は惹かれているのだなと自己解釈してます。
吸い殻入れもありました。錆びてますがクッキー缶みたいな箱状のものをかましてます。
これだって、基準としたい設置面の高さに見合う物体を、家の中をいろいろ漁って、選んで、かましたわけで、そういった経緯を勝手におしはかるのも、かましに心惹かれる理由のひとつです。
とある通りを歩いてたらこのかましに出会いましてね、私は度肝を抜かれて眼鏡と、飲みかけのライフガードも飛び散りましたよ。
段差スロープの斜に、ラバースロープの斜をあわせて水平を作ってます。天才だ!とわめいてたら、
この付近でまた似たようなかましが見つかって、天才は称賛しすぎたなと一気に感動が引きました。
誰かが伝えまわってるのかというぐらいあって割とポピュラーなかましなのかもしれません。
しかしこれは結構凄かった。もうかましとかじゃなくて、かましが端っから組み込まれたテクニカル看板なんです。
設置面とする手前の段差と噛み合うように、看板自体にジョイントを付けてるんですよね。もはや狡猾にすら思える。
これが実際に設置されていたら、でかい角材でかましてんなと、普通のかまし認定をしていた可能性もありました。なぜか敷地内に引き下げられててよかったです。
看板だけでなく植木鉢へのかましも多く見られました。ひっそりちいさなブロックをかましていたいけです。
基準とする奥の設置面が短くて、わずかに足をかけてるだけみたいになってます。
主に、土や、注いだ時の水が溢れないようかましているのだと思ってます。
この鉢植えの持ち主に直接聞けたらそれが一番面白いんですけどね、「なぜかましているのですか?」と訊いたところで、通報されるか、こちらがブチかまされるのは火を見るより明らかなのでね。
これはかまして水平になった看板に植木鉢が便乗している風に見えますが、景観を賑わしついでに重しとして利用しているのでしょう。
これはかましなのか?底上げなのか?迷ったのですがただの底上げです。苦渋の決断でしたが、私は、片側は設置面に直に接地、そしてもう片側はかまし、といった感じの非対称性を求めているので今回は見送りとさせてください。しかし一個だけレンガを縦にしているのがいい。
レンガをかましてます。これも直接持ち主に訊けたら良いんですけどね。
私は物心をつけたその瞬間から、インタビューはしないぞと決断した人間。吉田豪氏とは真逆の人間なのでね、記事の充実さより自分のかわいさのほうが大事やからさ・・・。
橋のように架かるこのレンガは恐らく、かまされ待ちのレンガですね。
暑すぎて、服も靴も全部燃えて、性格も焼き切れてしまったので、これを見てもどうせかまされ待ちなんやろとしか思えなくなってしまいました。かまされ待ちってなに?
レンガはかましにもってこいのアイテムらしいです。
コンクリートブロックも多く見られました。
ショーケースにかまし。
コンクリートブロックはかましにも重しにもなる。
コンクリートブロック+レンガ
コンクリートブロック+レンガ+瓦礫
熱風が強い日の薬局も、畳んだ収納ボックスをかましてました。その場しのぎでもあるかましも、目立たないのもあってか常態化するようです。
これが今回発見できたなかで一番気に入ってるかましです。
太めの木らしきもので岩盤を支えてそこに植木鉢が乗っかってました。
厳密には、太めの木と岩盤をかまして、植木鉢がそこに乗っかってます。かまされたもの自体が水平を持っていて、基準の高さにになっている珍しいケースです。
かましとか、かまされとかどっちがどれのことを言ってんのかわからなくなったのでもう終わりましょうか。
最後に、ウェブメディアびっくりセールに奇跡的に出れることになった場合を想定して素晴らしい商品を開発したので少し紹介します。
かまし石です。色々なサイズやカラーを用意しています。屋内専用なので、傾いたテーブルや傾いたパソコンの下にかましたり、ご自分のライフスタイルに合った様々なシーンでお使いください。
複数個購入されますと高さをより補えるのでおすすめです。
今後かまし石より軽く柔軟性や剛性にも富んだ、かまし木(かましぎ)も順次開発していく所存です。ご検討のほど宜しくおねがいします。
バイバーイ