路上の補修面に上書きされた道路標示の観察

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日々にさらされしなる背を、寒風のなかいっそう卑小に屈め、吊り下げているだけの頭から虚ろな視線を沈め歩く。

あろうことか私はそれを矜持として誇りつつある、つうか誇るしかなくなった。

あとは敬愛する水木しげると誕生日が同じという事ぐらい。

同胞各位に朗報です。その猫背に愛想つかす必要はもうありません。

私はこの生来からの手強い姿勢に毎朝言祝ぎを送っています。その賞賛に足る所以は、この程のいくつか調査、発見をご覧いただけたらおのずと理解出来ることでしょう。

今回はその猫背が因果で捗った、割とよく見かけるあれの報告です。

 

 

皆さんはこれをご覧になったことがありますね。

毎日俯いたまま歩いているのですから決定事項ということで進みます。

これは一時停止の道路標示ですが、路面が一部補修されており、既存の部分を元に継ぎ足し、元の標示を一旦復元させている道路標示、

いわゆる線継ぎです。

線継ぎ、そんな言葉があるのかどうか知りませんが言わずもがな、金継ぎ、銀継ぎからの引用で造語です。

語感どころか修復技法としても似通っているのでだいぶよい造語だと思います。

チョークで継ぎ足す場合もあるのでしょうが、発見出来た線継ぎのほとんどがスプレーでした。

モノタロウで探してみたらスプレーのやつがあったからたぶんスプレーです。

今回はこういう特集です。

キカイダーみたいに縦に割れた車道外側線を追っていくと、途中で補修部分がじわっと広がり、それに伴い白線の幅も広がりました。

さらに追うと、ほんのり盛り上がった補修部に、枝分かれ描かれた一時停止。

おそらく、丸で囲んでいる僅かな既存箇所を目指して、線を伸ばしたのですね。

といった邪推まがいなことを考えると非常に楽しい。

左に折れた白線は、さらに別の一時停止の一部になっていました。

 

こういうのもあります。

白く塗っているうちに、もうすこし内に曲げてもよろしいなと判断したのでしょうか、あらかじめ書いておいたアタリが残ったままです。

他人の思考の跡を垣間見た気になりますね。

 

横断歩道です。

ここまでレイヤーレイヤーと補修されたらほぼオフロードですね。

しかしそこにも浮かび上がる線継ぎ。

アスファルトの目の粗さによって同じ白でもうっすら3色ほどに分かれています。

意外と、ていうか結構一部補修をされている横断歩道は巷に頻出しています。

中でも気に入っているのが

これです。

合法ボミング。

白波と見紛うほどにウェイビー。

「わかりゃあええ」と一筆書きしたこの感じ、私もべらぼうに大雑把な性格なのでシンパシー感じました。

 

道路標示はあくまでも「標示」なので作家性とは対極にある匿名性の高い記号であることが好ましいのですが、このように「たしかに人為がそこにあった」と推察出来るもの、大袈裟にいってしまうと「野蛮」を目の当たりにすると、なぜか嬉しくなっちゃいますね。

線継ぎとは関係ないですが、この路面の取り外されたタイルって、保管しているのでしょうか?だとしたらどこでどのようにして保管してるのでしょうかね。

 

 

持っているのは車道外側線と横断歩道だけではありません文字もあります。

ほとんどブラックジャックです。

引いて眺めたらコンパクトですね。

走行中の運転席から視認できるよう、引き伸ばされたデザインをされていることを忘れちゃってたのでしょう。

ブラックジャックらしからぬミス。しかしそういうところも線継ぎの醍醐味ですね。

線を継ぎ終え眺めてみたら存外短くて、仲間達とみんなで「みじけ~」と笑っていたのであろういつぞやの光景を勝手に想像しちゃいます。

 

さらに「止」が続きます。

パッチワークがカワイイ「止」です。

もはや既存の白線がどれなのか。

この「止」はちゃんと引き伸ばされているのですが

この寸詰まりの愛嬌たるや。

「止」を持っているなら「ま」も持っています。

これもブラックジャックと同じミスをしていますね。

「ま」のすぐ傍から見下ろすと違和感はないのですが、その違和感がないのが問題で引き伸ばしを忘れてしまうのでしょう。たぶん線継ぎあるあるです。

これも「ま」

既存であった「ま」の9割が補修面の下敷になっています。

僅かな既存箇所を手がかりに線継ぎをしたのですね。素晴らしい技術です。

この「ま」は先程の「ま」よりガイドとなる既存箇所が豊富なので、多少継ぎやすかったのかなと思います。

エッジがついた「ま」にしたのですね。

 

「止」「ま」と来ればやっぱ「れ」も持ってます。

なんかたくましい。

最後のはねの部分は作者オリジナルでしょうか?それともこういうタイプがあるのかな。

この「れ」

既存箇所があそこの、あの部分だけしかないのに、完成させちゃってるのむちゃくちゃ面白くないですか?これは線継ぎじゃなくてもはや全書きです。

 

 

本当の全書きもあります。

まさに全書きタイプ。

なんか意外とありました。

 

全書きタイプは、きっかけとなる既存箇所がないだけあって、作家性がモロに出ます。

作者はこの補修面を前に「試されてる」と武者震いしたに違いありません。

 

 

ええ、止まりますとも。

 

「止まれ」全部もってるならそりゃあピクトグラムもあります。

以前「なんかいい写真を紹介します」でも取り上げてもらったの全書きピクトです。

皆様の「なんかいい」写真を紹介いたします

一番気に入っていたとい言ってもいい代物なのですが

今回、この記事を書くぞといった旨を我々素人の研究社ことシロケンの社長に持ちかけた所、ご自分がお持ちの線継ぎを提供してくださいました。

これです。

こんなスーパーレア見たことない。おれはくやしいよ。

くやしいのでこの線継ぎピクトの良さの解説は省きますね。

ただ、継がれた腕の方がバランス的に良くなっちゃってて、反対側のオリジナルの腕のサイズに違和感を感じる現象が起きてます。ってことだけは言っておきます。

 

次で最後になります。最後なのでそりゃあもうとっておきの凄いやつです。

 

どうだい、凄いねえ。

何が凄いってこれは、そもそもが「止」であったものを「と」にバイパス手術させた線継ぎだからです。

なぜか、補修面も「止」を「と」に変えたいがために都合よく貼り付けたような位置にあります。

これを横着と呼ぶ人もいるかもしれませんが私はこれを発明と呼びたい。

そしてこの線継ぎの作者は非常にアドリブ力のある手練だと思います。

 

まだ継ぎ足されていない「れ」があったので、これを線継ぎしてちゃんと終わろうと思います。

バリムズイ

 

二回目は割とマシになったね

三回目にしてこの上達ぶり、線継ぎの才能が私にはある

みんなもこの画像を使って思い思いの線継ぎをやってみてね。

 

 

バイバ~イ