素人の研究社 社員日誌♯11

カツオ、坂本龍馬、土佐犬、移住者カフェトラブルなどで有名な高知県に先日出かけ住宅地を何気なく歩いていたのですが、そこで興味深いお宅を見つけました。

どういうお宅かというと、車を駐車する場として使われる「カーポート下」に椅子や机を置いて腰掛けられる休息スペースを作っているお宅が半径1キロ軒内に3件もあったのです。

その日が猛暑だったこともあり、なぜこんなところに避暑地のようなものを作っているのかと驚いたのですがこの「カーポート下の憩いの空間」についてあれこれ考えてみたのでこの場をかりて発表したいと思います。

 

■1軒目

カーポート下にダイニング用の椅子が一脚と、その前にコンテナケースが逆さに置かれています。このコンテナケースおそらく机か足おきとして利用されているのではないかとはじめは想像したのですが、コンテナケースの上に座布団が置かれていることから足置きか、もしくは来客用の椅子として利用しているのかもしれません。全体を見るとカーポト内の敷地を囲うように鉢植えや花の咲いたプランターが置かれておりなんかいい感じの空間が形成されています。よく見ると椅子と逆さのコンテナケース上には猫よけシートが設置されており、猫もお墨付きな様子です。

 

■2軒目

「心の躍る家」を掲げるこちらのお宅のスペースには折りたたみ用の椅子が2脚にタオルと毛布がそれぞれかかっており、毛布の椅子は座りごごちにこだわった結果この姿に落ち着いたのではないかと思われます。

椅子が2脚ということはご夫婦なのか、友人なのかご近所さんなのかはわかりませんが誰かと共に過ごすための共有スペースとして利用されていそうです。遠目ではありますが毛布やタオルが汚れていないように見えるのでこの空間をそこそこ利用しているのではないでしょうか。

 

■3軒目

おしゃれなガーデンテーブルとチェアには麦わら帽子がかかり、ここは避暑地であることが象徴されているようです。テーブルの上には少々見えずらいのですが器に水を張り花を浮かべて「涼」を意識されたインテリアも置かれています。あまり物はごちゃごちゃ置かず風通しも良さそうで素敵ですね!

 

 

■何故?

このようなカーポート下に憩いのスペースを設けているお宅が数件あることについて高知県出身の夫と話をしたところ夫は「近所の人とのおしゃべりが娯楽になっているのでは?」と発言していました。ちなみに私は「エアコンが嫌いだから」室外に憩いの場を設けたのかと考察いたしました。ちょうど義両親のエアコンに対しての不満の声を聞いていたので本当にお年寄りはエアコンが嫌いなんだなぁと実感していたところだったからです。

このような意見や自分の考えから高知県という土地柄について調べてみました。

 

■調べました

総務省による最新の人口推計では、人口比で65歳以上の高齢者の割合が多い県として高知県が秋田についで2位となっています。

高知県は高齢化の進む日本においてとりわけお年寄りの多い県であることがデータからも読み取れ、田舎ということもあり日々の暮らしの中で慎ましい楽しみをされている方が多いのかもしれないなと想像ができます。

また高知市を歩いてみるとあちこちに喫茶店があることがわかります。

↑昔から喫茶店文化が根づく高知県ではレトロな外装の喫茶店もよく見かけます。全国でも喫茶店の多い県として有名です。

喫茶店が栄えた理由としては、昭和の時代から働く女性が高知には多く働き口の受け皿としてとの諸説もありますが、地域の人のコミニュケーションの場として定着したとも考えられます。つまり近場で誰かと話たり情報交換をするということを生活の一部として行ってきた人々が多いのではないでしょうか。それって普通じゃんと思われるかと思いますが、学校や職場ではなく、家の近所でおしゃべりをするには対人関係やその「場」がないとできないことだと思うからです。特に近所の人と話しをするという行為は慣れや経験、信頼関係など様々な要因が培ってさらに「近所でおしゃべり」がその人の精神的な拠り所となっていないとできないことだと思うからです。そうでなければ近所の人とはあいさつ程度の付き合いで済んでしまうでしょう。(挨拶すらないかもしれません)

 

つまり「カーポートしたの憩いのスペース」も「近所の誰かとのコミニュケーションスペース」として高知の喫茶店文化の枝分かれのようなものかもしれないと感じるようになりました。「近所の人とのおしゃべりが娯楽になっているのでは」という夫の考察と同じ解答になるのかもしれませんが、その根底に高知の喫茶店文化が関係しているのではないかというのが私の解答です。

エアコンが嫌だからとか高知は1年を通して風を感じられる風土だからとか色んな考察もしましたが、そうしたら2階のベランダでも屋上にでも椅子を置けばいいだろうと感じますし、人目のつくカーポート下に設置するということは「近くの誰かと繋がりたい」という気持ちの表れのように見えてきたのです。

 

■想像してみました

何気なく通り過ぎた時に目に留まった人様のカーポート下の憩いの空間。なんか羨ましくなったので私もカーポート下の空間を作りたかったのですが、生憎我が家はマンション住まいのためそのようなスペースが確保できないので理想のカーポート下のスペースを描いてみることにしました。

■緑は置きたい

■ハンモックをぶら下げ基本自分はそこで過ごす

■誰かきたら後ろのクーラーボックスから飲み物やプリンなどでもてなす

■ご近所に迷惑がかからない程度の音量で音楽を流す(クーラーボックス上にスピーカー)

■3人来てしまったら誰かクーラーボックスに座ってもらう

■体育館用の大型扇風機を置く

■冬はこたつ

■冬はガスコンロを出してきておでんか鍋を楽しむ

■猫も歓迎するのでチュールを皿に少し出して置いてみる

 

どうでしょう。ご近所の方は是非遊びにいらしてください。