「ナマケモノ」を世界はどう訳すか 31ヵ国のナマケモノ観

ところで動物のナマケモノに「ナマケモノ」と名付けたことをひどくないか?と思っているのは私だけだろうか。

そのゆっくりとした動作から「怠け者」という呼び名がついた。

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)

 

確かにナマケモノは1日にさほど動かずじっとしているが、だからといってナマケモノは決して怠けているわけではないだろうと思うのである。ちなみに「怠け者」を辞書で調べてみたところ

  •  すべきことをしないでいる
  •  物事をまじめに行わない

という記述であった。

ナマケモノだってすべきことをしないでじっとしている訳ではないだろうし、むしろまじめにじっとしているのだから称されるべき存在だと思う。それに動きが遅いから「怠け者」と名付けられた経緯もあまり好きではない。もし私がナマケモノを発見した第一発見者ならナマケモノではなく「のんびり屋」とか「ゆったり感」と名付けたい。

ひょっとしてゆっくり動くナマケモノを怠け者とかけて「ナマケモノ」と名付けたのは日本だけではないだろうか?日本ってそういうところがあると思うから..

そこで私は他の国でもナマケモノを怠け者とかけて呼んでいる国があるのかということを調査することにした。

調査方法:聞いたことのある国の言語31ヵ国の「ナマケモノ」をGoogle翻訳した後にGlosbe使って再検索をした。Glosbeは翻訳した言葉の例文の数が豊富で調べた言葉が果たして本当に「ナマケモノ」として使われているのかを検討するのに信憑生が高いと判断し利用した。Google翻訳、Glosbeで検索した「ナマケモノ」をさらに画像検索をしてナマケモノの画像が表示されることを確認した。このような3段階ステップで今回私はナマケモノの翻訳に取り組み評価した。

 

◎結論

早速結論から発表すると約7割の国々がナマケモノは「怠け者」と臭わせた名称であることが判明した。だいたいの国の皆が「動きの遅いあいつは怠け者」と解釈していたことに驚きを隠せない。

 

 

そして下記は私が翻訳して調査したメモである。

ちなみにその他というのは名称から「怠けている」や「遅い」と関連性が見えてこなかったものをその他に入れている。

このナマケモノの翻訳を通して興味深い「ナマケモノ」がいくつかあったので取り上げて紹介したい思う。

 

Sloth(英語)

まず日本語の次に馴染みのある英語から紹介したい。slothをGoogle翻訳すると「怠惰」と出てくるのだが、複数のサイトで調べた結果「怠けている」という意味で使われるのは「lazy」を用いられることが多いそうで、 slothといえばナマケモノをさすようだ。slothはゆっくりの「slow」から由来しているという解説をいくつか確認したのでナマケモノのスローな動きを表した様子が語源であると勝手に定義した。つまり私が名付けたいと思っている「のんびり屋」や「ゆったり感」も語源は英語と近しいと考えている。

 

 

 

イタリア語なのにギリシャ語のbradipo

イタリア語で「bradi」とはギリシャ語で緩慢を指す言葉のようで、そこから「baradipo」と名称されているらしい。ちなみに徐脈を「bradicardia 」というそう。なぜイタリアなのにギリシャ語が由来しているのかと疑問に思い調べたのだが、古代ギリシャ人が南イタリアを植民地にしていたことが関係しているのではと勝手に考えている。南イタリアには「ネプチューン神殿」というギリシャ様式の建築物も現存しており、そういった歴史的背景もbaradipoに影響しているのではと推測している。(全て素人の見解です)

 

 

もっと具体的に「怠け者」を表現する言語

「ナマケモノ」をもっと詳しく説明している国がある。具体的にいうと「木の上で怠けているヤツ」とか「怠けている動物」など怠惰+αの表現を使っているケースである。例えば中国の場合、「树懒」は 树→樹木 懒→怠惰 と意味をしているし、韓国では「나무늘보」나무→ 木 늘보→ノロマ ポルトガルは「bicho-preguiça 」bicho-→虫 preguiça→怠け者、エストニア語は「laiskloom」 laisk→怠惰 loom→動物である。

 

 

 

ナマケモノをどこで怠けているかと場所まで明確に言及している中国や韓国は意思の強さが表れている気がするし「怠け虫」と表現したポルトガルはユニークな印象を受けつつもちょっと大雑把な気質を感じた。確かにちょっと虫っぽい雰囲気もあるけど…

 

 

たぶん「怠け者」と解釈している言語

言葉から怠け者の匂わせを汲み取れなかったタイの「สลอท」なのだが、興味深いタイ語の記事を紹介したい。

タイのナショナルジオグラフィックから抜粋した記事のタイトルなのだが

「สลอธ ถึงจะช้าแต่ไม่ได้โง่」

訳:ナマケモノは遅いですが、愚かではありません。

という全く私の主張を肯定してくれる記事をタイ語で確認することができた。

タイ語で怠惰や遅いという単語を調べても「สลอธ」と近しい単語を見つけることができず(因みに怠け者はคนเกียจคร้าน)日本のようにダイレクトに「怠け者」を表す名称ではないのではと考えられるが、タイ人もナマケモノの認識は「怠け者」なんだなと確認することができた。

今回タイ語のสลอธからは匂わせ単語を確認することができなかったのだが、この記事を参考にナマケモノは「怠惰」と認識している言語として追加することにした。

 

この調査から考えたこと

今回、31カ国のナマケモノの名称を翻訳して考えたことがある。これも素人の憶測なのだが、たぶん多くの国ではナマケモノを発見するよりも「木の上でダラダラして怠けている動物がいるよ」という情報を得たのが早く、その情報を得て各国が「ナマケモノ」を翻訳したのではないだろうかと考えたのだ。ナマケモノの生態からしても生息している地域が限られているため、発見するよりも情報としてナマケモノを認識した国がほとんどだったのではないだろうか。じゃないと揃いも揃って万国が動物に「怠惰」と名付けないだろうと思うのである。

 

こうしてすっかりナマケモノの翻訳に染まってしまった私は出先でナマケモノに遭遇すると、ナマケモノの表記が何になっているのか気になって仕方がなくなってしまったのだ。

これはコペンハーゲン発祥フライングタイガーにて購入したナマケモノのぬいぐるみなのだが、表記をよくみて欲しい。

 

 

デンマーク語ではありませんか。

 

きっとデンマーク語でナマケモノと書いているに違いないと思ったら、いてもたってもいられなくなりナマケモノのぬいぐるみを購入。これが本場の「ナマケモノ」の表記!早速翻訳してみましょう。

 

 

訳:膝ブレスレット

 

残念ながらこの表記から「ナマケモノ」を発見することができず、デンマーク語の「ナマケモノ」を確認することができませんでした。

 

 

このように今後も他国のナマケモノの名称を集め、私の記事の信憑生を高める活動を続けていきたいと思います。