固定から半固定、そして非固定へ 

一般的にはその場に固定されて然るべきものが時々その場から移動可能な状態でその場に置かれているのを見かけます。仮設の信号機やガードレールのような一時的な用事のためにそこに置かれたものではなく毎日そこにあり続けるのになぜか固定してもらえないもののことです。

そうしたものを眺めながらそこに至った色んな事情を考えてみようと思います。

 

例えば店の看板は毎日同じところに立っているべきものですが、歩道に面した店舗の場合店の前は私有地ではなく占有ができないので看板は一時的に置いている状況とせねばなりません。従って店の看板は半分はそこに居続けるものながら、実際には出したり閉まったりの作業が発生することでちょっと置いているという事実を作っているようです。

この店の看板は究極であり、常に台車に乗っています。店先に出る時もこのまま。最初は降ろしていたんでしょうが、最終的には乗ったままになってしまったのかもしれません。設置ではなく駐車しているということですね。

 

これは半固定。ミラーは路上に固定されているものだと思っていましたがそうでないものもあるようです。恐らく後付けで設置せざるを得なくなった安全上の事情(事故があったのかもしれない)と、工事が出来ないという建物、場所的な理由が生んだものではないかと推測しています。こうした状況の変化があったとしたら非固定、移動式、後付けといった方法は非常に便利でしょう。

日々同じように使われるものなのでキャスターがついているが恐らくそう頻繁に場所を変えるものではないかもしれませんね。移動式とはいってもほぼ固定かと思います。

 

やむを得ずそうなってしまった例もありました。

裏に工事現場があったことから恐らくですが、元々あった場所から一時避難として引っこ抜かれこの場所に置かれたではないかと思います。標識は地中に埋まりその場から動かないのが通常でしょうが、周辺環境の変化でごくたまにその場から強引に移動させられるケースもあるようです。

抜かれた植物のようなたたずまい。また元の場所に戻れる日をじっと待っているかのようすね。

 

かなり強引に地面から引っこ抜かれ、固定から非固定へ。道具と化して別の人生を歩み始めたものを見つけました。

この場所に駐車をされたくない土地の持ち主がどこかから持ってきたチェーンポール。元は地中に固定され、どこか特定の場所をずっと守っていたものが何かの理由で職を失い、今こうして移動型の道具へ無理やりジョブチェンジ。

 

同じ例でかなり極端なものが発見されました。

地面ごと抜き取られたのはたまたまなのかそれとも引き続きその場に立たせるためなのか。元々外にあったであろうポールがこうして屋内で全く景観になじむことなく継続使用されるケースも珍しいですね。

 

こうして見るとその違和感は甚だしく「連れてこられた」感がどうにもぬぐえません。

急にドアが開く、左側階段から歩行者が歩いてくる、この場所で過去に人と人、人とドアの接触が何度かあったことが推測されます。地面に埋まり、そこ場に立っていて然るべきこうしたポールが地面事抜き取られ全くの異世界でまた活躍している様はなかなか面白いものです。

 

通常なら固定され然るべきものが動かせる状態でその場にある、または日常的に移動されている場面を幾つか見ていきました。これに限らず、通常そうであるべきものが何かの理由から特殊な機能を持たせられる、または機能を制限されるといったものがあれば、幾つかのサンプルと共にその理由などを考えてみたいと思います。皆様の身の周りにそうしたものがあれば素人の研究社にお送りください。