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人は使わなくなったものに厳しい。
「役立たずめ!」なんてマンガの悪役のように強い言葉をぶつけなくても、態度ににじみ出てしまうのだ。
町はそんな使わなくなったもので溢れている。人がそれらにどういう扱いをしていくのか見ていこう。
対象はポスト(郵便受け)だ。
玄関や入り口付近にあり、目立つ場所に置かれるので、”住宅の顔”といっても言い過ぎではない。家を擬人化するなら、ポストは口にあたるはず。
口をテープで無理矢理ふさぐ手法は、監禁するときと一緒だ。人が住んでいないだけで、そんな扱いはあんまりじゃないか。
ただ、そんなことを行って塞がないとどうなるかといえば、こうなる。
これは以前住んでいたアパートに内見に行ったときのもの。あまりにもひどいので不動産屋がいる横で「すごいっすね~」と写真を撮ってしまった。
ポスティングをやっている人たちも「絶対に住んでない」と思いながらチラシを入れ続けたと想像できる。ポストが空だった最初のころは何も考えずに順番に入れていったのだろうけど、何度も通ううちにチラシがあふれ出し、「あそこ空き家だったのか……」と思いつつ面倒くささに負けて毎日チラシを入れ続ける。
こうならないためにも監禁(=ポストを塞ぐ)のは、必要なのだ。
よく見てもらうとわかるのだけど、一枚目の写真の奥に設置されているポスト。
同じ人が貼ったとは思えない仕事の雑さ。口だとしたら割と喋れる気がする。チラシも折りたためば左右の隙間からねじこめるし、なんかもう本当に面倒くさかったんだな、と共感してしまう。
いびき防止グッズにこういうテープがあったような気がする。
四兄弟のうち弟三人は塞がれている。比較的丁寧に貼られていて好感が持てるけど、そんな丁寧な仕事をする人のビルが空室ばかりなのは哀しい事実。
先ほどもあった縦に貼るのを「カトちゃん型」と名付けた。これは三連カトちゃん。ひとつだと「ペ」だけど、三つになると「ペッペッペー」になる。斎藤さんだ。
双子みたいな光景。
どちらのテープもすこし曲がっていて「同じ人が貼ったんだー」と思わせられる。
なんだろう。面倒くさい、というのがポストを塞ぐときの共通の感情なんだろうか。まあ大家さんからしてみたら、空き室がある=収入が減る なので、楽しい気分でないのは間違いない。
人の肌の色がひとつでないように、貼られるテープの色もさまざまだ。
この写真だけで「青」「銀」「白」「緑(剥がされている)」の四色ある。
とりあえず手元にあったテープを貼ったらこうなったという雑さがいとおしい。
監禁されているポストはひとつもない。満室だ!
だけどよく見てほしい。インターホンの下に白い養生テープが落ちている。誰かが剥がしてそのまま放置したのだろう。
悪いポスティングマンがチラシを減らすために無理矢理剥がしたのでなければいいのだけど……。
先ほどとは真逆で、こちらは全てのポストが塞がれている。
これだけの人数が揃っていると、監禁というより銀行強盗、立てこもりを連想する。
犯人はとんでもなく几帳面な性格だろうし、プランBどころかプランPくらいまで綿密な計画を練ってそう。
うってかわってこちらの雑さはすさまじい。
とにかくチラシを入れてくれるな、という熱量が伝わってくる。
外付けのポストじゃなくてオシャレなタイプでも容赦はされない。ベタッと口を塞がれてしまう。
ところで監禁されて解放されたあと、ガムテープを口からビッと勢いよく剥がすのはかなり痛そう。あれでついでにヒゲも抜けて口まわりがスッキリしたりしないのかな。
ポストと関係ないけど、ヒゲもじゃの人を監禁するときちょっと苦労しそう。
これも監禁あまり関係ないのだけど、ポストの格差に笑ってしまった。
そんなデーンと上に載せなくても……。
長い間貼られ過ぎて、もはやポストと一体化している。
もとがガムテープだったのか、養生テープだったのかもわからない。
こうなる前に開放してあげてほしい。
口を塞いでいるだけじゃなくて、フタが開かないようにテープで留めているのがポイント。
だけどそれよりも、ポスト以外の部分が気になってしまう。
インターホンの数が多い。そしてぜんぶ種類が違う。どういう経緯なんだろう。
ラストはこちら。几帳面の極み。
ここまで厳重に貼ってしまうと剥がせないと思うんだけど、「もうここには誰も住まない」って固い意志の表れだろうか。
これらをテープの材質と貼り方によって分類したのが下のもの。
あなたが用済みのポストに処置するときは、優しくていねいに貼ってあげてほしいです。