貼紙の地層―掲示物の重ね貼りから読み解く”情報の優先度”

こんにちは。

このように私は趣味で記事を書いたりブログを書いたりしているのですが、書く度に思うことは自分の考えをまとめることが下手だということです。さらに自分の気持ちを言語化するのも苦手でそのことで落ち込む日も多々あります。しかし思いや主張を体現することが苦手なのは私だけではなく結構多くの人が抱えている問題ではないか?という事にこれを見て気がついたのです。

これは、一体何が言いたいのでしょう。

「くすり」よりも主張したいことがあるように見えますが「くすり」が邪魔して主張したいことが見えません。

看板や掲示板の目的は、宣伝・広告・忠告など世間に伝えたいことや主張したいことを掲示することだと思います。つまり言いたいことが見やすく伝わりやすいことがそれらにとって重要ではないでしょうか。それなのにこの看板はどうでしょう。なんだか自分を見ているようでお前も頑張れよと励ましたい気持ちになりました。

インターネットであればたとえ最初の主張や内容が変わっても簡単に修正することができますが、看板はそういう訳にはいきません。新しく作り直すにはお金も時間もかかってしまうからです。

その結果、既にあった情報の上に新しい情報を重ねてしまおうという試みをするようで、結構そういった事例を街中で見つけることができました。うまくいっている物もあれば、なんだか大変なことになっている物もあります。今日はそんな情報の上に情報が重なってしまった「情報on情報」の実態をご紹介したいと思います。

<掲示板>

掲示板はその地域によって行事の内容や案内が違うので見ていて面白いです。これは渋谷区の掲示板ですが、今この地区でホットであろうイベントは「原宿プラチナ会新年会」と「もったいない!」のイベントであり、それらが交通安全の呼びかけよりも上であることがわかります。

こちらは「せごどんのひ孫が語る!」がゴミ出しよりも重要であることがわかります。

このように情報の上に情報が重なっていることで今最も旬な情報が明瞭化され”言いたいことを伝える”という観点からするとわかりやすいのですが、情報の下敷きになってしまった情報を必要としている人がいる場合もあるので、掲示板としてはよろしくないように思います。

これは実際にあった例ですが、私は「あけましてファミコン!」のイベントに参加してみたいと思ったのに商店街の特売日のお知らせに邪魔をされ、いつ・何時から「あけましてファミコン!」が始まるのかわからずもどかしい気持ちになりました。

その点下北沢の掲示板は良いですね。最初から掲示板に線が引いてあり情報が重ならないように掲示することを心がけている様子が見受けられます。「お」が消えかかっても「しらせ」として充分機能している素晴らしい掲示板です。

<視認性>

飲食店の看板でよく見られる例です。「もっとこうしたら伝わりやすいのでは?」というお店の方のアイディアが情報on情報に繋がったと察します。

最初は手書きで書いていたお刺身メニューを、パソコンで作成したメニューで体裁を整えた模様。

こちらはスタッフの直筆を容赦無く餃子のデジタル化で重ねたスタイルです。しかしサンタと角を失ったトナカイの絵に餃子が重なっていない点は、仲間への思いやりも伺えます。

一方こちらは魚の絵にラーメンが重なっています。この店の煮干しらぁ〜めんの美味しさは魚の絵では表現できなかったのでしょう。ラーメンの写真+和風の文字でより具体的になりました。

しかし看板の字や煮干しの絵を懸命に描いたスタッフの気持ちを考えると、なんだかせつない気持ちになります。手書きの文字や絵よりもパソコンの文字や写真で体裁を整えたほうが伝わりやすいのでしょうか。人間は機械には敵わないという訳でしょうか…ところでこの店の煮干しラーメンは安すぎじゃないでしょうか….

おや、こちらは手書きが上にきています!

ゆずビールの写真だけではゆずが伝わりにくく普通のビールに見えてしまうのでしょう。緑の用紙・緑のコップ・そしてゆずの絵を描くことで”さわやかゆずビール”が写真だけよりもより伝わり易くなりました。

電動歯ブラシと普通の歯ブラシのどちらにも良さがあるのと同様、手書きも機械化もどちらにも良さがあるのですね。目的を明確にして上手に取り入れたいものです。

こちらは「実際の料理の方がメニューより美味しそうなんですよ、うちは」というお店側の自信から料理の写真をメニューの上に貼り付けたと思われます。たしかに親子丼は艶やか、海老ハイカラ丼の海老はプリっとしていて美味しそうですね。一番の自信作は大海老の天ぷらなんでしょうかね。写真がワンサイズでかい!

わらじかつと天ぷらの盛り合わせと肝心の蕎麦は今のところ納得の出来栄えが完成したことがないのでしょうか。がんばってほしいです。

<訂正>

よんどころのない事情で訂正変更を余儀なくされた事例です。平成30年4月より総額表示が義務付けされた影響でしょう。見やすくていいですね。

こっちは見にくいですね。酌セットはお休み中だそうです。そして何故か晩だけ生きてます。

飲み物1杯+枝豆+前菜1品+揚げ物1品+炒め物1品でなんと1000円という幸せにマルどころかハナマルあげたいマルコウさんでしたが、きっと無理をされていたんですね。揚げ物1品がバーバパパみたいな顔のシールでなかったことにされています。

一見情報on情報されていないメニュー表ですが、よく見てください。右上のメニューはonされています。上手くやってますね。何を訂正したか気になりそーっとめくってみたところ、どうやらウィンナーの本数を1本減らしたようです。

<主張>

言いたいことを情報の上に重ねて主張を強調する様子もよく見かけます。

営業時間の変更や臨時のお休みなどのお知らせはonされていることが多いですね。

期間限定メニューなどのonもよく見かけました。

誰かきた系の主張もよく見かけます。余談ですが私はラーメン屋などに飾ってあるサインを熱心に見てしまうタイプの人間です。

誰だかよくわからない人も「へぇ…」という気持ちで見てしまいます(サッポロビールの新社長が来店したそうです)

元々は「◇型△人足りません!」といったことが書いてある献血の呼びかけの看板に、女の子のポスターをonしています。ラブライバーに的を絞って献血の呼びかけをしているようです。血液足りません!と悲痛な声を上げていた以前の看板に比べると随分ポジティブな印象へと変わりました。ちなみにこの女の子達は「ラブライブ!サンシャイン‼︎」と言い、ロンブーの田村淳さんはラブライバーとして痛車で聖地巡礼をしているそうです。献血も田村さんも大きく方向転換しましたね!

<されまくり>

情報onされまくっている事例です。

情報のサンドイッチと化しています。おそらく1番上にきている写真が1番のおすすめ品だと思いますが、左下の下敷きになっている写真と同じ料理に見えるのは私だけでしょうか。そしてこのお料理、一体なんでしょう。手書きのメンソーレー。からすると沖縄料理っぽいですけどね。

うーんされまくってますね!かんたん便利な多機能を売りにしているプリンターだった訳ですが細かい操作方法が別紙で貼り付けてある点から、かんたん便利ではない様子が伺えます。手書きの次の方におゆずり下さい。の注意書きが使用時の緊張感を促します。

一見何の変哲もないように見えますが、多分ベースの店舗とonされているモミ楽館は違う店のようです。2階202室というのは同じですが、よく見ると電話番号が違います。さらにモミ楽館の上にonされている今月キャンペンの情報を見ると小顔3000円ですが、モミ楽館価格だと小顔2500円です。主張が伝わりにくい看板ですが、怪しい店ということはわかりました。

 

※ベストヒット J・O・J

ナニコレ!? J・O・J   顔文字?ではなく情報on情報の略語なのですが、私が今回1番好きな事例はこちらです。看板の上にさらに看板をのせ、背景にまで情報が散りばめられている点も見どころですが、そもそも字が達筆すぎて押しの食事が読めません。そして何より後ろの哀愁漂う猫の表情がいい!大賞!!

 

ということで今回のご紹介は以上となります。果たして私の今回の記事 ”言いたいことが見やすく伝わりやすい” 仕上がりとなっていたでしょうか。感想や励ましの声等ございましたら素人の研究社までメッセージをドシドシ送ってくださいね!