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新緑の候、皆様いかがお過ごしでしょうか。
5月って過ごしやすくていい気候ですよね。風も爽やかで心地いいし。散歩をするのにもいい季節です。
私ごとで恐縮ですが、ちょうどこのくらいの季節に小学校の遠足で貝塚に行った思い出があります。埼玉にある新郷貝塚ってところです。
その貝塚は縄文時代後期の貝塚なのですが、土壌に堆積する貝殻を見たときに、自分の住んでいる街はかつて海だったのか。紀元前の埼玉には海があったのか。などと貝塚の貝を見て、はるか昔の我が街の姿を想像したものでした。
あれから20年。わたしはまた、土壌の貝殻に思いを馳せていました。
今回は貝塚の貝殻ではありません。
これです。
プランターに仕込まれた貝殻です。
街を注意深く観察してみると、プランター内に貝殼を仕込んでいるお宅がまあまあ見受けられます。
プランターに貝殻。海で生息するはずの貝殻が、なぜか住宅街で見かける違和感。砂浜に比べて随分狭い空間に佇む可笑しさ。なんかいいですよね。
そもそもわたしは貝殻拾いが好きで、海に行けば必ず貝殻を拾って帰ってきます。拾った貝殻は綺麗に洗って箱にしまったり、飾ったり、時には小物入れにしていることもありました。
熱心な収集家というわけではありませんが、貝殻が好きなんです。桜貝とか見ているだけで癒されます。そう思いません?
ということで今回のテーマは、プランターに仕込まれる貝殻の調査報告と同時に、プランターに仕込まれた愛らしい貝殻を紹介し、皆様に癒されていただきたい。そんな気持ちで調査してまいりました。それでは皆様よろしくお願いいたします。
そもそもなんのための貝殻?
そもそもなんのためにプランターに貝殻を入れるのでしょうか?
調べてみたところ、土壌が酸性にならないよう中和させる効果が貝殻にはあるそうです。わたしの父が植木屋なので、貝殻をプランターの中に入れることについて語ってもらいました。
すると「貝殻をそのまま入れても意味はないだろう。」との見解でした。もし植物がよく育つようにするために貝殻を入れるのであれば、貝殻を砕いて土壌に混ぜる必要がある。だけれども貝殻を混ぜるよりも栄養剤でも買って混ぜた方がよっぽど元気に育つであろう、とのこと。
つまり、プランターにそのまま貝殻を入れている主は、
①「貝殻を入れるとよく育つらしいから、とりあえず貝殻を入れてみた」または「なんか貝殻を捨てるのがもったいないから入れてみた」→貝殻への関心や愛着は低め
②「よく育つようにたくさん入れてみた!」「植物がよく育つかどうかはさておき、植物のお飾りとして貝殻を飾った」→貝殻への関心や愛着は高め
と考えました
これらの考えも取り入れ、プランターに仕込まれた貝殻について分類・考察します。
また、
学習科学図鑑 貝・水の動物 (1980年10月1日)星野 雅良
ポケット図鑑 日本の貝 (1997年4月20日)小菅 貞男
を貝殻の参考資料として用いました。
生命力を感じる貝殼
広々としたプランターに、ひっそり身を隠すようにしている貝殻を目撃しました。
まるで貝殻に息があり、外敵から身を守っているようです。
この貝殻は円錐形でトゲトゲの突起物が出ていることから、「ウラウズガイ」ではないだろうかと考察しました。
複数のプランターがあるにもかかわらず、貝殻が潜んでいるのは1つのプランターだけです。わたしだったら、このサイズの貝殻をプランターに置くのであれば左のプランターに置きますが、なぜこのプランターに入れたのでしょうか。真相は謎です。これは「マガキ」の殻かと思います。
見てください!もともと陸で生活していましたが何か?と言わんばかりに堂々とした佇まい、これはサザエですね。ちなみにサザエはすむ場所によってトゲの発達の仕方が違い、波の荒いところにすむものはトゲが発達し、波の静かなところにすむものはトゲが発達しないそうです。このサザエは荒波出身ですね。
私の見解ですと、上記のようにプランターに1つだけ貝殻が入っている場合は、持ち主が貝殻に対してさほど関心や愛着がないのではと考えます。
「なんか捨てるのも勿体無いし、プランターにでも入れておこうか。」
そう言って、適当にプランターの中に貝殻を入れたのではないでしょうか。
持ち主の関心の薄さや適当さが、プランター内の貝殻から「野生感」や「生命力」を感じられた要因なのではと考えます。
湧いた貝殻
時に貝殻はプランター内で湧いています。これは荒波出身のサザエですね。
湧きすぎるとプランターから脱走します。これも荒波出身のサザエですね。
こちらも荒波出身のサザエ。荒波出身だからでしょうか、勇ましさを感じます。もはやプランターが関係なくなってしまいました。
「湧くのは荒波出身のサザエ」と陸の世界での掟でもあるんでしょうか。
あ!荒波出身のサザエじゃないのも湧いてましたね!これはバイじゃないですかね?
ここでバイの豆知識。バイは腐肉食性です。海のハイエナってことですね。
バイは死んだ魚を食べるんですって。知ってました?
これは、キサゴの殻ではないでしょうか。キサゴは昔おはじきにも使われたそうです。カタツムリの殻にも見えて個人的には生理的に受けつけないのですが、キサゴは食用でもあり、貝細工の材料にも用いられる勝手の良い貝殻のようです。
ところで「貝殻は癒される。」「みんなに癒されてほしい。」という思いで調査してまいりましたが、湧いた大量の貝殻ってのは気持ち悪いものですね。
この調査から、貝殻を見て癒されたい場合は数個の貝殻を鑑賞するのが良いということに気がつきました。
しかし例外がありました。
数種類の貝殻が1つのプランターに入っているミックス貝殻です。様々な形や色が入ることで気持ち悪さから可愛らしさへと変化します。
ホタテ貝、トリガイ、マガキ、ヒオウギガイ、ナガタケノコカニモリガイ、カイコガイキイロダカラガイ…….様々な貝殻がプランターの中に集結いたしました。ミックス貝殻は、バラエティー貝殻と言っても良いでしょう。ちなみに「貝殻バラエティーセット」はメルカリで販売されています。
愛らしい貝殻
貝殻を整列させると非常に可愛いのでオススメです。これはホタテガイの整列ですね。
これはホタテガイのフォーメーションですね。
こちらはマガキですね。お花畑で整列しているようで非常にCUTE!!!
あ!見てください!右端のプランターで倒れるマガキの殻を!あー愛おしい!
「頑張って!」のエールを送りましょう!
このように丁寧に並べられた貝殻は持ち主の貝殻への関心は高いのではと予測されます。「貝殻可愛い!!」って思っていないと、ホタテや牡蠣の殻をこんなに丁寧に並べないでしょう。
これはつぶ貝かなーなんて思ったて調べたら、先ほど湧いた貝でも紹介したバイですね。
皆さんご存知でした?つぶ貝=バイなんですって!だからつぶ貝でも正解です。
右端上のキラキラした平べったい貝はなんでしょうか。あれは、アワビですね!さすがアワビ。キラキラして貝殻だけでも高級感を感じます。
こちらのお写真、近所の小料理屋のプランターを撮影させていただきました。
この小料理屋ではアワビよりもつぶ貝の方が回転率がいいことがプランターから読み取れます。
このように、食用の貝がプランターに佇んでいることが非常に多いです。
美味しく食べた後の貝殻を見て「なんか、もったいないなぁ」と感じプランターに貝殻を置くのでしょう。なので小料理屋やイタリアンのお店のプランターの中に貝殻が入っていることが非常に多いです。
またこの小料理屋は、プランターに潜む貝殻へ関心はかなり高いと感じますね。
なぜなら定期的にメンバーチェンジしているから。
つぶ貝→サザエにメンバーチェンジしてます。今回は荒波出身じゃないですね。穏やか海からやってきたサザエです。さらに、
つぶ貝→マツボックリにもメンバーチェンジしています。そして気になるのはアワビです。アワビが姿を消しました!
アワビが戻ってくる日は来るのでしょうか。引き続き小料理屋のプランターの貝殻を観察することにします。
プランターと化した貝殻
ここまでプランター内に潜む貝殻を紹介して参りましたが、
貝殻がプランターと化した、素晴らしい貝殻を見つけました。
これは大型の淡水性の貝、カラスガイですかね?各地の池や沼のどろ深い底にすんでいるそうです。そんな背景を理解してのデザインなのか、カラスガイの貝殻に育つ苔や草は先ほどのサザエの殻に美しく生い茂る苔とは違って、雑草のようなたくましさ、泥臭さが感じられます。
これ、ほんと素晴らしいですよね。貝殻の狭い空間からわびさびを感じます。では、もう一度ご覧いただきましょう。
うーんいい。
実にいい。
ナイスガイ!!!!
どうでしょう。皆様荒波の社会とインターネットでお疲れでしょうから緑と貝殻で目も心もリフレッシュしてくださいね。
おっと!?
これはなんでしょうか?
マガキの泥詰め??
しかもよく観察しますと、プランターの上に台を置いてさらに受け皿を置いて貝殻を置いて土を詰めていますね。意図はなんなんでしょうか?とにかく調査を続けて、この小さな貝殻のプランターを観察していきたいと思います。ここから新しい生命が誕生したら素敵ですね。
バンガイ
さてここからは番外編です。
■バンガイその1
随分トゲトゲした貝殻のこちら。これはガンセキボラじゃないでしょうか。
トゲトゲしい貝殻も珍しいですが、漢字が書いてある深緑の壺のようなプランターも珍しいですよね。
実はこの写真、ベトナムはホーチミンの住宅街で撮影したものです。
「なんかもったいないからプランターに貝殻入れておこうか。」
「なんか可愛らしい(?)し、プランターに貝殻入れておこうか。」
ベトナム人もこのように考えたのでしょうか。
この調査から貝殻に関心や愛着を持つ気持ちは万国共通なのでは?と考察しました。
しかし海外でプランターに佇む貝殻の調査を積極的に行っていなかったため、n数は1と非常に希薄です。今後、積極的に調査していきたい案件です。
■バンガイその2
「なんか貝殻捨てるのもったいない」が全面に出ている小料理屋を見つけました。
メニューのディスプレイの上に置けるだけ置いた荒波出身のサザエの貝殻の山。
貝殻の中に貝殻。貝on貝 貝in貝 こちらも詰めるだけ詰めようとしている様子が見受けられます。入りきらず地面に落ちているキサゴが確認できます。受け皿となる大きな貝殻はミルガイでしょうか?
室外機の上の隙間スペースを狙って貝殻を敷き詰めます。
しかしなぜかこのお店の店主、プランターの中には貝殻を入れない主義のようでプランターの中に貝殻は佇んでおりませんでした。
これだけでも大変貝殻に関心と愛着をお持ちであるとご理解していただけたかと思いますが、まだ見所があります!
こちらです。
わかりますでしょうか。
建物と建物の間なので奥が暗くてよく見えないのですが、わかりますでしょうか。
ひきでも御覧ください。わかりますでしょうか。
塀に佇む荒波出身のサザエの行列。
暗黒の闇に吸い込まれていくかのようなサザエの行列。
ちなみに左側の建物が小料理屋で、右側はクリーニング屋です。
おそらく小料理屋とクリーニング屋の共用の塀の上にサザエの貝殻が置かれているのですが、十中八九小料理屋が勝手に置いたと推測されます。
さらにこの小料理屋の建物と塀の間隔が狭いことから、小料理屋はクリーニング屋の敷地に入り込んでサザエの貝殻を丁寧に並べている。
そう推測できるかと思います。
写真では暗くてよくわかりませんが、まだサザエの貝殻を置くスペースが残っています。今後もサザエの貝殻の行列は連なっていくことでしょう。
まとめ
今回の調査から、私が思っている以上に人々は貝殻に愛着や関心を持っていると確信いたしました。
その訳は調査を通して、プランターの中の貝殻が並べられたり、追加されたり、配置を変えたりと、プランターという狭い空間の中で思い思いに貝殻を飾って楽しんでいる様子を観察することができたからです。
今後は
「プランター内に貝殻を入れるのは万国共通なのか?」
というテーマに焦点を当てて、世界規模で調査に乗り出したいと思っています。