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マックスバリュから買い物を終えたワゴン車が、駐車場からおごそかに身を出し、車列に混ざりたがってる。それに気づいた軽トラが少し停まる。じりじりできあがっていく車間にワゴン車がゆっくりすべりこんでいくのを見た。二台が一列となる寸前でお互いが運転席から会釈をしていた。ありがちな光景だが賛美に値する。車を持っていて更に機嫌も良くてそしてその軽トラの立場にいたら私も是非そうしようと思った。
祖父が飼っていた大型犬
機嫌がいい人間ってのはそれだけで偉大だ。それが根っからのものであればほんと羨ましい。それが心掛けであったなら感涙ものだし敬服しちゃう。セントバーナードやゴールデンレトリーバーみたいに毎日機嫌よく生きよう。なれた暁にはお手やおすわりは勿論おかわりにも従わず、フリスビーなど取りに行ってたまるか、投げた人が取ってこい、と顎でシャクるとくるんと丸まり眠りたい。
この二匹から生まれたのがさっきの大型犬です
口角をあげる。たったそれだけのことが続かないのは性根が不機嫌で出来ているからだろう。素質がないのだ。口も生まれつき少し開いただけのコンパスぐらいひん曲がってる。もう縦だ。ならばいっそう不機嫌になりたまえ、と社会が不遇をぶつけてくるのもつれえ。
買ったばっかの自転車だから、大変機嫌よくコンビニまで納税に向かう。払い終えて表へ出ると、停めてあったニューマシンのトップチューブにガムが貼り付けられていた。口からガムを直接手に取り、しっかり入念に伸ばしつけるみたいに。
家に着いた私はバスタオルに「おいお前はいつになったら乾くんだ」と八つ当たりをしていた。「乾いたら乾いたでおかしなニオイも出しやがる」こそいだガムから甘いオレンジの香りがする。しっかり味わうことよりも、悪事を優先させた犯人が心底気味悪い。
私はその一件以来パタリと喜、哀、楽を失くし、怒りの感情一面のみしか持たない怒りの権化となってしまった。そりゃもう足拭きマットぐらい平べったい。
そう、テロンテロンに平べったい足拭きマットみたいにね。
冗長な導入から見事キーワードに繋げることができたので今回の本題を改めて
「足拭きマットが干してあるぞ」特集です。
足拭きマットが干してあるぞ特集に色気も迫力もないことは私自身がとうに自覚しているので、今回は新しい試みとして、今まで使ったことがなかった「小見出し」という凄いテクニックを随所に差し込んだ非常に構造的な記事にしていこうと思ってます。
足拭きマットと小見出し、この2つの縦軸を走られた挑戦的な良記事です。是非とも、違法アップロードされた水曜日のダウンタウン、クレイジージャーニーを探すのは一旦やめて御覧ください。
◆その小見出しってなに?
私自身もハッキリとはわかりませんが、急に大きくなって色もついた上の文字のことらしいです。
小見出しを確認すると以降に何が記述されているのかが一目瞭然にわかるらしく、読み手の理解が捗り、ガイドとして非常に便利、なおかつ内容的にも筆者の力量を越えてバツグンに面白くなるらしいです!
なんで今まで使ってこなかったんだ!?ドジ!
この行つまんねえな、あきたなって思ったらグングンスクロールしてめぼしい小見出しを見つけ、そこから読むなんてことも出来るらしい!
どおりでみんな、最初のどうだっていい導入を読まずにここまで一気にワープしてきたってわけだ。
みんなも推しの小見出しを見つけたらそこから読んでみよう!
◆早速小見出しを使ってみよう!
よし!使うぞ!
◆「足拭きマットが干してある現象」その凄さとは
遭遇率が低いにもかかわらずその現象を発見できたとて、なんのありがたみもないのが、足拭きマットが干してある現象です。
改行がトリッキーな看板然り、落ちてたホイールカバー然り、たまたま発見出来るものってのは大抵はありがたみがあるものです。
しかし足拭きマットが干してある現象は、たまたま発見できたとて、有り難みがありません。それ以前にほぼ対象化されてもいない。
つまり足拭きマットが干してある現象の凄さとは、歩行者の視野に入っているにもかかわらず、意識にのぼってこないそのステルス性能です。
詩的にいうと、昼食時に見えた幽霊です。
◆昼食時に見えた幽霊とは?
私が頑張って考えたフレーズです。昼飯に夢中で、外も明るいからそこまで脅威となりえなかった霊、ということでしょうな。野暮な説明をさせるのはやめて。
でもまあこの素人の研究社で取り上げてるものって大体そういう、無意識と有意識間で常に点滅しているような、取り沙汰にしてどうすんのってものばかりですね。
とはいえこうして特集にするぐらいだから、それなりに魅力はあるんです。
◆「足拭きマットが干してある現象」その魅力とは
予告もなく不定期に出現するそのギャンブル性です。
足拭きマットが干してある現象は、そこにいけばある郵便ポストのように毎度定位置に固定されてないため、現象としてのフットワークが軽いのです。
昼間にはあったのに夕方には無くなってるということがあります。
かと思えば一日中干してあったりする確変日があったり、干されてないハズレ日が何日も続くこともあります。
青春18きっぷの発売期間のようにいつの間にか現れていていつの間にか消えているのです。その焦れったさが「足拭きマットが干してある現象」の魅力といっていいでしょう。
今後干されるであろうと予想される現場で張り込みさえすれば、干されている時間帯をある程度特定できる、と思うのですがそんなイカれたことやりたくありません。
◆なぜやりたくないのか?
イカれてるからです。
小見出しの扱いにも早速慣れてきたところで
◆足拭きマットが干してあるぞコレクションを紹介します
「慣れてきた」と言ったそばからこれだ。
これは小見出しを次のトピックに強引に切り替えるためだけに利用した悪例ですね。言わんこっちゃないよ。
やはり小見出しの扱いに、、、
◆慣れていませんでした 驕りは禁物ですね
上述の通り小見出しも反省してるので許してやりましょうかね。
ではいままで集めてきた足拭きマットが干してある風景を紹介します。
駐輪所のガードパイプに干されてます。これはセブンイレブンの前の歩道を挟んで突き当りに干されていた足拭きマットです。
これはガードレールに干していますね。ファミマの前にあったので、おそらくファミマ所有のマットでしょう。
足拭きマットそれ自体にはそれほどトキメイてはいないのですが、足拭きマットを掲げている支持体と、そこに足拭きマットが干してある、という現象に関心を高めている次第です。
ミニストップの敷地内で干されてますね。
ということは、ミニストップが所有する足拭きマットの可能性が高いです。
焼肉屋の前のガードパイプに足拭きマットが干してありました。
歩行者を守りつつ足拭きマットも干すっていうワンオペです。大したもんだ。
長さを持て余して地に着いちゃってます。
2枚とも靴底に触れる起毛した面を内側にしているってことは、日光に晒しての滅菌目的とかではなさそうです。
干しているというより、ただ掛けているのでしょうか。
駐車場のフェンス。左の足ふきマットは裏側を晒してさらに折り畳んでいます。ということは、干しているというより、ただ掛けているのでしょうか。
これは素晴らしいですね。
折り目正しく実務に即したコンビニが、思わず垣間見せた一抹の生活臭。
店舗周辺にめぼしい支持体がないため、店舗関係者の自転車を支持体に選んだんですね。
サドルから泥除けにかけて二枚重ねに干してあったのでしょう。一枚落ちちゃってますが非常に柔軟な発想です。
バリケード自身もまさかこういった応用をされるとは思ってもみなかったことでしょうね。
しかしまた裏っ返しになってます。
干しているというより、やはりただ掛けているだけなのでしょうか。
路肩でよく見かけるあの箱にサイズ感もぴったりで貼り付いてました。
◆いっぱい足ふきマットを見すぎて疲れたでしょう?
ティーブレイク
「小見出しには息抜きの効果もある」と社長から教えていただきました。
なるほど、文脈を追うってのはとても能動的な行為ですもんね。
連綿と読み続け、記憶してきた内容を逐次参照しながら、同時に「今」読むなんて、かなり高度な並列処理です。そりゃ疲れます。
いわれてみれば私は小見出しにさしかかる度
「ああやっと集中力を切れる」といつも安堵していました。
文脈から解き放たれ、小リセット効果とでもいいましょうか、確かに小見出しの周辺には憩いがある。
◆しばしの憩いにふけるあいだ、私の中でふと どうでもいい疑問が浮かんだ
それは・・・
◆干しているのか、ただ掛けているだけなのか!? どっち?
どこの店舗出身の足拭きマットなのかは、ある程度割り出せるのですが、(各店舗も間口から伸びて突き当りの支持体を選ぶ傾向にあるため)その店舗関係者に直接尋ねていないのでわかりません!
なぜなら、表の支持体にぶらさがる足拭きマットを指し
「すいません、少しお訊きしたいことがありまして、この足拭きマットって、干していますか、それともただ掛けているだけですか?」と尋ねたところで
「は?」と3回ぐらい聞き返されるか「ちょっと店長に訊いてきます」とバックヤードに消えていって通報されているのが関の山なのでね。ええ。
私はこのシュミレーションを幾度もやりましたよ。30種類以上のパターンのほとんどの結果が通報されるという顛末になりました。
私が質問に行こうとした序盤も序盤の入り口のところで、緊張のあまりに失禁ってのもありました。連行され、パトカー内での失禁もありました。パトカーを待ってる間、店員に羽交い締めにされていて、そのときにもやってしまったので計3回漏らしてます。
「これは干してるのですか、それとも掛けているのですか」という意図の汲めない質問に戦慄し、店員側が失禁ってのもありましたね。
通報されていることを早めに察した私が、慌てて逃走すると、オフィスグリコのカートにはねられ、痛みにうずくまっていたところで小さな輪ゴムを見つける、ってのもありました。
電話で問い合わせるシュミレーションもやりましたがすべて途中で切られましたね。
ただね、私は「掛けている」だけだと思いますよ。地面に垂れ落ちた水滴の跡も見えないし。いや、別に水洗いしてなくても、天日干しといって、滅菌目的の「干し」もあるのですが、私が見つけてきた足拭きマットには、一番汚いはずの表を内側にして支持体に掛けているといった状態のものが結構ありましたのでね。
これを御覧なさい。
干し派の言い分を訊いてみたいものですな。
これはね、掛けているとしか言いようがありませんよ。干したいのであれば散らすはずです。
植え込みに阻まれてガードパイプの長さが短くなってますが、もう一枚分ぐらいは隣に干せるっちゃ干せます。
それなのにこんな層になるまで足拭きマットを重ねるなんて・・・
7~8枚ぐらいは掛けてます。これはもうソファー、もしくは角煮です。
これだって掛けてるだけですね。いっちょ前にドレープ感だしちゃってるけど谷折りになった暗い部分は一体どうするんだい。
当該店舗に尋ねてないので憶測ですがね。おそらく床掃除のために一旦外に掛けられてるんですよ。
そもそもね
最初に載せたこの画像の足拭きマットも、ただ掛けているだけ説が濃厚だと話題です。
だってこれを撮ったのは夜だったのですから。
すると干し派は鬼の首を取ったように、こうのたまうのでしょうな。
「陰干しだろ!」「日中に干してたのを取り込み忘れたんだろ!」
「なんだあのガードパイプの足元に巻き付いてる小さいベルトみたいなのは!?」
劣勢にもかかわらず這々の体でお疲れ様です。
まず「陰干しだろ!」との意見がありましたね。
繊細な素材を使用した衣類等に陰干しを施すのは理にかなっているのですが、あの屈強な足拭きマットですよ?
毎日毎日お客どころか、納品の台車、そして主と思っていた店員にさえも踏まれ続けているのに弱音も吐かないタフな奴をわざわざ陰干しにしますか?
私ならしないですね、足拭きマットは丈夫に出来てますから。
はいそして「日中に干してたのを取り込み忘れたんだろ!」っていう意見もありましたね。
その場合は「干し」でも「掛け」でもなく「取り込み忘れ」です。
あの小さいベルトはわかりません。
そういえば、足拭きマットと並行させていたテーマ、小見出しをなおざりにしてしまっていましたので
◆出しときますね
処方箋感覚に出された小見出しですが、やはり安堵できますねえ。
すべての行が小見出しだったらいいのに。
ていうか、私は何と戦ってるんだろう、自分が言い始めたことに対し、それにぶつける形で「干し派」「掛け派」に派閥分けまでしてさ。
物語を展開をさせるには対立構造を作るってのは常套手段だけど、これはマッチポンプが過ぎてねえ、急に人格が分離しちゃったみたいに見えて怖いな。
◆ではなぜ最初「足拭きマットが干してある現象」と銘打ってたの?
一応考えてたんだ。
「掛けてある」より「干してある」のほうがそこから汲み取れる含意がなんだか豊富そうだと思って。
あくまでおれの私感なんだけどさ「掛ける」は単機能的でさ、それに比べて「干す」は「掛ける」も兼ねてる。
「干す」は、そうすことによって起こりうる成果を、予め期待した行為でさ、展望がある感じじゃん。
「掛ける」はさ、ただそれだけな感じ。そうすることによって何が起こるでもない風じゃんか、今後の展望といえば仕舞われる以外にないっていうか。
つうことなの。
◆へえ
話聞いてくれてあんがとな。さすが小見出しだよ、さながらカウンセラーだわ。
店員に通報されるシュミレーションを繰り返し過ぎたせいでPTSDになってたのに、完全に治癒ってら。
えっと
あのさ
◆なあに?
その、
◆どうしたの?
これからは毎回、出てほしいんだ。
そして、小見出しなんて堅苦しいのじゃなくて「こみっちゃん」って呼んでもいいかな?
◆まとめ
小見出しの節操のない乱用、はき違えた誤用はやめよう
干してあるのか、掛けてあるのかは各自、足拭きマット所有者の方に尋ねてみてください。
◆さようなら
バイバーイ